梅雨が近づいてきた臭いがした。きょうもそんな臭いがする。
過ぎていった・過ごしてしまった時間のことを思った。無為に課題をこなすばかりの自分が情けなくて仕方がない。
21日はけっこう幸せだった。大学に行った。授業を受ける目的で大学に行ったのはおよそ2か月ぶり。
休み時間に書店を2か所まわって、小説とマンガを計5冊購入した。購入した本を一応書いておくと、
ヴァージニア・ウルフ、森山恵(訳)『波〔新訳版〕』
中井紀夫(著)、伴名練(編)『日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽』
萩尾望都『AーA’』
panpanya『足摺り水族館』
以上5冊。
近所の書店では見かけない本も、都内の大きな書店であれば見つけられる。これも都市に住まうことのひとつのメリット。だから都市に住んでみたい気もする。
今週は演習の発表のためにレジュメを作ったりその他にもいろいろやったりで忙しいはずなのに、現実逃避に適した本ばかりを買ってしまった。さっそく大学の図書館でうしろの2冊を堪能。とっても素晴らしかった。21日はけっこう幸せだった。
panpanyaは友人のLINEスタンプをきっかけに知った。オロコッパーヘンデルモルゲンを探すために購入したのだが、どうやら別の単行本(『蟹に誘われて』)に登場するらしい。買う前に調べるべきだった。『8月のソーダ水』の美しさは筆舌に尽くしがたいのでここには書かない。興味があったらぜひ読んでみてください。会う機会があったら私がお貸しすることもできます。とても素敵な作品です。
久しぶりにサークルの部室に入った。懐かしい感じがした。
友人に2か月前から借りていた本をお返しした。わざわざ大学に行った、授業以外の目的はそれだった。お会いできる確証はなかったけれどなんとなく会える気がしていて、ちゃんと会えたのが嬉しかった。
ことしの5月からこのブログの更新頻度が以前より格段に高まったのはその本の影響だった。齢25にしてこの世を去った編集者、二階堂奥歯が遺したたぐいなき生と死のアーカイヴ、蠱惑的なブックリスト。彼女の透徹した思索とさまざまな作品に注がれた溢るる愛情に何度も心を動かされた。文章を残すことの私にとっての意義を考えさせられた。
この先ずっと忘れることのない読書体験を与えてくれた。
私が『八本脚の蝶』をお返ししたとき、友人は単行本版をわざわざ持ってきてくれた。単行本には、文庫版に収録されなかったカラーページがあって、生前の奥歯の側にいたぬいぐるみやノートなどの私物をおさめた写真が掲載されていた。文章の隅々から漂う彼女の気配と同じものが、たしかに写真からも感じられた。
それを読むことができたのはたいへん喜ばしいことだった。お礼に、読み終わったばかりの『足摺り水族館』をお貸しした。そもそもpanpanyaを教えてくれたのはこのひとだったので、価値の分かるひとに読んでもらうのが私にとっても本にとってもよいことだと思ってお貸しした。相手のことを考えながら本を貸し借りするのって、なんて素晴らしいのだろう。
月曜のことをあれこれ思い出しながら書いているうちにだらだらと時間が流れて、日付が24日になってしまった。もうここらへんにしておく。返す返す書いておく、21日はけっこう幸せだった。